スーパーボリンジャーは、スパンモデルとともに元証券ディーラーのマーフィー氏こと柾木利彦氏が考案したテクニカル指標だ。
名前だけ聞くと難しいインジケーターのように感じるが、通常のボリンジャーバンドに遅行線を加えたシンプルなテクニカル指標だ。
スーパーボリンジャーは
- センターライン(21日移動平均線)
- ±1σ、±2σ、±3σ
- 遅行スパン
で構成されている。
こちらがスーパーボリンジャーを表示したチャートだ。
上から
- 遅行スパン(紫色の線)
- +3σ(緑色の線)
- +2σ(黄色の線)
- +1σ(オレンジ色の線)
- センターライン(ピンク色の線)
- -1σ(オレンジ色の線)
- -2σ(黄色の線)
- -3σ(緑色の線)
の8本の線が描画されているのがわかるな。
スーパーボリンジャーの見方
スーパーボリンジャーは基本的なボリンジャーバンドの見方のほかに、σラインとローソクの位置関係、遅行スパンとローソク足の位置関係でトレンドの向きと売買タイミングの判断をすることができる。
センターラインの向きでトレンドを確認
センターラインの向きが上向きか、下向きかでトレンドを確認することが可能だ。
上昇トレンド
上昇トレンドの時にはセンターラインが右肩上がりに描かれる。
下降トレンド
下降トレンドの時にはセンターラインが右肩下がりに描かれる。
遅行スパンとローソク足の位置関係でトレンド方向とトレンド転換を見極める
上昇トレンド
上昇トレンドの時には遅行スパンがローソク足の上を推移する。
下降トレンド
下降トレンドの時には遅行スパンがローソク足の下を推移する。
レンジ相場
方向感のないレンジ相場では遅行スパンがローソク足の上と下を行き来するか、ローソク足と重なった状態で推移する。
トレンド転換
ローソク足の下を推移していた遅行スパンがローソク足を上抜いたこと(ゴールデンクロス)を「陽転」といい、上昇トレンドに転換したことを意味する。
チャートでは緑の丸の中で陽転し、その後上昇トレンドに転換していることが分かるな。
反対にローソク足の上を推移していた遅行スパンがローソク足を下抜いたこと(デッドクロス)を「陰転」といい、下降トレンドに転換したことを意味する。
このチャートでも緑の丸の中で陰転し、下降トレンドへと転換している。
遅行スパンとσラインの位置関係でトレンドの強さをはかる
遅行スパンがσラインに対してどこに位置しているかでトレンドの強さをはかることができる。
具体的には遅行スパンと±2σラインの位置関係に注目する。
強い上昇トレンド
遅行スパンがローソク足と陽転した後、遅行スパンが+2σより上にある時は強い上昇トレンドを示唆している。
強い下降トレンド
遅行スパンがローソク足と陰転した後、遅行スパンが-2σより下にある時は強い下降トレンドを示唆している。
通常のボリンジャーバンドと同様にローソク足とσラインの位置関係を見る
スーパーボリンジャーバンドはボリンジャーバンドと遅行スパンが組み合わされたインジケーターなので、通常のボリンジャーバンドと同様にローソク足とσラインの位置関係でトレンドが今どのような状態にあるのかを見ることができるぞ。
それぞれのσ(シグマ)ラインにローソク足は以下の確率で収まる。
- ±1σのバンド内に価格が収まる確率 → 68%
- ±2σのバンド内に価格が収まる確率 → 95%
- ±3σのバンド内に価格が収まる確率 → 99%
ボリンジャーバンドが教えてくれるトレンドの「巡航速度」
ボリンジャーバンドのメリットはトレンドの勢いを視覚化してくれる所だ。
スーパーボリンジャーでも同様に、バンドのσラインとローソク足の終値の位置関係でトレンドが巡航速度であるかを見極めることができる。
巡航速度のトレンドは、ボリンジャーバンドの±1σと±2σの間に終値が推移し続けている状態となる。
- 理想的な上昇トレンド:ローソク足の終値が+1σと+2σの間を推移している状態
- 理想的な下降トレンド:ローソク足の終値が-1σと-2σの間を推移している状態
実際にチャートで確認してみよう。
このチャートは下降トレンドだが、青い楕円で囲まれたエリアは-1σと-2σの間に終値が収まっている巡航速度の下降トレンドだ。
-1σラインがレジスタンスラインとして機能していることもあり、戦略が立てやすく視覚的にも綺麗な下降トレンドだな。
このまま-1σと-2σの上を終値が推移し続ければトレンド継続となり、-1σを上抜けたらトレンド終了。
このような巡航速度のトレンドが終了した後は一度保ち合いになりやすい傾向にあるぞ。
スーパーボリンジャーのシグナル
ここでスーパーボリンジャーのシグナルを一旦整理したいと思う。
- センターラインが右肩上がり → 上昇トレンド
- センターラインが右肩下がり → 下降トレンド
- 遅行スパンがローソク足の上を推移 → 上昇トレンド
- 遅行スパンがローソク足の下を推移 → 下降トレンド
- 遅行スパンがローソク足と重なって推移 → レンジ相場
- 遅行スパンがローソク足を上抜く「陽転」 → 上昇トレンドへ転換
- 遅行スパンがローソク足を下抜く「陰転」 → 下降トレンドへ転換
- 遅行スパンが+2σよりも上を推移 → 強い上昇トレンド
- 遅行スパンが-2σよりも下を推移 → 強い下降トレンド
- 終値が+1σと+2σの間を推移 → 巡航速度の上昇トレンド
- 終値が-1σと-2σの間を推移 → 巡航速度の下降トレンド
スーパーボリンジャーのメリットとデメリット
スーパーボリンジャーのメリット
- トレンドの方向・トレンドの強さ・トレンド転換を判断しやすい
- 1つのインジケーターでシグナルの裏付けをすることができる
スーパーボリンジャーは遅行スパン、センターラインの方向とローソク足との位置関係はもちろん、ボリンジャーバンドとしてトレンドの強さを見るのに優れている。
また、スーパーボリンジャー、スパンモデルならではのメリットとして、1つのインジケーターでシグナルの見方が複数あるということが挙げられる。
1つのシグナルの裏付けとなるシグナルが点灯することで、シグナルの強さを測ることができる。
スーパーボリンジャーのデメリット
- レンジ相場は苦手
- トレンドがどこまで持続するのかは分かりづらい
スーパーボリンジャーはトレンド系インジケーターのため、トレンドレスなレンジ相場に突入すると遅行スパンが方向感を失いローソクと重なって推移してしまうため、シグナルが分かりにくくなる。
ただし、レンジ相場では普通のボリンジャーバンドとして逆張り手法に使うことは可能だ。
また、スーパーボリンジャーはトレンド転換のタイミングを見極めるのに重宝するが、そのトレンドがどこまで続くのかを予測するのは比較的難しくなる。
特に、反転後、短期間で再反転することもあるから注意してくれ。
スーパーボリンジャーのトレード手法
スーパーボリンジャーの考案者であるマーフィー氏によれば、スーパーボリンジャーはあくまで相場のトレンドと流れを見るためのもの。
売買タイミングをはかるためにはスパンモデルで見るのが基本的な使い方になるということなので、スパンモデルと併用してエントリーポイントとイグジットポイントを紹介していくぞ。
まずは上昇トレンド転換時の売りポジションのエントリー手法。
①遅行スパンがローソク足とゴールデンクロス
遅行スパン(紫色の線)がローソク足とゴールデンクロスしたことで、前の下降トレンドが終了したことを確認する。
このままきれいに上昇トレンドに転換せずにレンジ相場になる可能性もあるので、スパンモデルの雲で転換点をさぐる。
②雲がねじれ、ローソク足に対してこれまでと反対の位置に表示される
雲がねじれ、青い雲のサポートゾーンとなったことで、トレンド転換と判断、ここでエントリーだ。
③遅行スパンがローソク足とデッドクロス
利確ポイントは、遅行スパンがローソク足にデッドクロスした地点だ。
ポジション保有中はスーパーボリンジャーでトレンドの勢いを見ることができる。
ローソク足の終値が+1σ(オレンジ色の線)と+2σ(黄色の線)の間を推移している状態が理想的な上昇トレンドの状態だな。
ローソク足の終値が+1σラインを割れてセンターラインを割れるようなら、遅行スパンのシグナルを待たずに利確しても良いだろう。
売りポジションの場合も先ほどと同様だ。
①遅行スパンがローソク足とゴールデンクロス・デッドクロス
遅行スパンがローソク足とデッドクロスしたことで前のトレンドが終了したことを示唆している。
すぐに下降トレンドの転換とならずに揉み合いになることもあるので、スパンモデルの雲の状態を確認する。
②雲がねじれ、ローソク足に対してこれまでと反対の位置に表示される
スパンモデルの雲がねじれ、赤い雲に反転してローソク足の上に現れていることをシグナルとして、売りポジションのエントリーをする。
③遅行スパンがローソク足とゴールデンクロス
利確ポイントは遅行スパンがゴールデンクロスした地点だ。
上昇トレンド時と同様に、ローソク足の終値が-1σ(オレンジ色の線)と-2σ(黄色の線)の間を推移している状態が理想的な下降トレンドの状態。
ローソク足の終値が-1σラインを抜けてセンターラインを上抜けるようなら、遅行スパンのシグナルを待たずに利確しても良いだろう。
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