2016年に導入されたマイナンバー制度は、公的機関だけでなく現在では銀行・証券会社・FX業者といった民間の金融機関にまで浸透し、徐々にマイナンバーありきの社会になりつつあります。
そのため、
と考える人もいるのではないでしょうか?
この記事では、海外FXトレーダーのそんな疑問に分かりやすくお答えします。
- マイナンバーとは特定の個人を識別するための12桁の番号
- マイナンバー制度によって課税の適正化・効率化が実現できる
- 国内FX業者にはマイナンバーを提示しなくてはいけない
- マイナンバー制度はあくまでも日本の制度
- 金融庁の監督下にない海外FX業者の口座開設や取引にマイナンバーは不要
- マイナンバー不要と言っても非課税や脱税可能という意味ではない
- 海外FXも確定申告をしてしっかり納税する必要がある
- 各国が協力して資金の流れを追跡できる仕組みがあるため脱税は不可能
- 脱税ではなく節税の道を模索しよう!
結論から言うと、マイナンバー制度は日本国内の制度なので、今のところ金融庁の監督下にない海外FX業者で口座開設する際にマイナンバーを提示する必要はありません。
ただ、マイナンバー制度が日本社会に浸透すればするほど、今後、マイナンバーおよびマイナンバーカード絡みの個人情報漏洩や詐欺が横行する可能性があります。
また、税金に関する知識不足が原因で多額の追徴課税を請求されたトレーダーや、税金を支払わなければ資金を出金させないと嘘をつく詐欺業者もいるので注意が必要です。
この記事ではマイナンバー制度とFXの税金にまつわる基礎知識や、海外FXトレーダーがマイナンバーカードを活用するケースなどについて詳しく解説しています。
今後、巻き込まれるかもしれないトラブルや詐欺を回避するのに役立ちますので、ぜひ最後までお読みください。
マイナンバーは日本の制度!海外FXとは無関係
冒頭でも述べましたが、海外FX業者にマイナンバーを提示する必要はありません。
その理由は、マイナンバー制度は日本の法律によって定められた制度だからです。
日本の金融庁の監督下にない海外FX業者は、基本的に金融ライセンスの規制や所在国の法律などに従い運営されています。
マイナンバー制度の概要
日本でマイナンバー制度が導入されたのは2016年です。
住民票を持つ日本国民には、特定の個人を識別するため12桁の番号「マイナンバー」が付与されることとなりました。
マイナンバー制度の目的は、大まかに「行政の効率化」「国民の利便性の向上」「公平・公正な社会の実現」の3つに分類されますが、より具体的な狙いの一つに課税の適正化と効率化があります。
FXの利益も課税対象ですので、国内FX業者・証券会社・トレーダーもこのマイナンバー制度への対応が必要となりました。
国内FX業者に課せられた義務は、自社の顧客(トレーダー)からマイナンバーを集め、支払調書にマイナンバーを記載することです。
支払調書とは国内FX業者が「誰にいくら支払ったか?」を記載して翌月に税務署へ提出する書類のことで、トレーダーが直接見ることはありません。
国内トレーダーに課せられた義務は、国内FX口座の新規口座開設時にマイナンバーを提示することです。
既存の国内FX口座保有者には2018年まで猶予期間が設けられ、これに従わない場合は取引や各種サービス提供が停止されました。
このように、マイナンバーと国内FXの利益が紐付けされたことで、これまで以上に個人投資家への課税が適正化・効率化が進むこととなったのです。
また、銀行の海外送金(支払い・受取り)サービスや財経貯蓄・証券口座・投資信託などの金融商品を利用する場合にも、マイナンバーが提示が必須となりました。
マイナンバー制度は公的機関だけでなく、すでにさまざまな民間業者にも浸透しており、徐々にマイナンバーありきの社会に移行しつつあります。
マイナンバーが必要ないからといって脱税はできない
「海外FX業者にはマイナンバーを提示しなくて良いなら、脱税できるのではないか?」と誤解しないでください。
繰り返しになりますが、海外FXマイナンバー制度はあくまでも日本国内の課税を適正化・効率化するための制度の一つに過ぎません。
海外FXの利益や海外銀行口座の資金は、主に以下の3つの理由によって追跡できるため、脱税は事実上不可能です。
- 入出金情報は記録されている
銀行・クレジットカード会社・オンライン決済会社などの金融機関は、顧客の入出金データを記録しています。 - 入出金情報は税務署に報告されている
銀行は口座に100万円以上の送金(支払または受取)があった翌月、送金内容の詳細を記載した「国外送金等調書」を税務署に提出しています。 - 世界的に金融情報が共有されている
国際的な租税回避制度「CRS(Common Reporting Standard:共通報告基準」によって金融情報は共有されています。
まず、金融機関(銀行・クレジットカード会社・オンライン決済会社)には、顧客の入出金データが残ります。
銀行は100万円以上の海外送金(支払い・受取り)があった場合、送金内容の詳細を記載した「国外送金等調書」を税務署に提出するため、資金の流れは税務署に完全に把握されます。
また、一定額以上の財産を持つ富裕層には、財産債務調書や国外財産調書などを自ら税務署に提出しなければならない義務もあります。
「仮想通貨やオンラインウォレットで入出金すれば良いのでは?」と考える人もいるかもしれませんが、金融情報は国際的な租税回避制度「CRS(Common Reporting Standard:共通報告基準」によっても共有されています。
CRSとは、経済協力開発機構(OECD)が策定した国際基準の一つです。
日本を含む100以上の国と地域が参加しており、各国が連携して脱税を防ぐ世界的なネットワークが構築されています。
日本の税制を回避する手段として、海外移住や海外法人を設立してFXをするという抜け道もあることにはありますが、さまざまなハードルをクリアしなければいけないため、これを実践できるのはごく一部の人だけです。
そのため、一般トレーダーは脱税や租税回避ではなく節税の道を模索しましょう。
海外FX業者にマイナンバーカードを提出する唯一のケース
海外FX業者でマイナンバーカードを使用するケースが一つだけあります。
それは、海外FX口座開設時の本人確認書類としてマイナンバーカードの画像を提出する場合です。
海外FX業者の多くはマネーロンダリング対策として、口座開設時の本人確認(KYC)を徹底しています。
その際、写真付き身分証明書と現住所確認書類といった本人確認書類の提出を求められます。
一般的に運転免許証やパスポートを提出する人が多いのですが、持っていない人はマイナンバーカードを写真付き身分証明書として提出しても良いでしょう。
ただ、あくまでも海外FX業者が氏名・住所・顔写真等を確認するための手続きなので、裏面に記載されたマイナンバー自体は不要です。
マイナンバーは、黒塗りやモザイクなどで加工して提出してください。
iFOREXは過去にマイナンバーの提示を要求していた
マイナンバー制度が導入された当初、海外FX業者の中には金融庁の監督下にないにもかかわらずマイナンバーの提示を求めた業者もありました。
大手海外FX業者iFOREXもその一つでしたが、現在はルールが見直されマイナンバーの提示は不要となっています(2023年9月時点)。
ネットやSNSには、「iFOREXはマイナンバーを提示しなければ取引できない」という古い情報が残っているのでご注意ください。
1996年にサービスを開始したiFOREXは、最も古くから日本居住者にハイレバレッジの海外FXを提供してきた業者の一つで、日本における海外FXのパイオニアです。
顧客に日本人トレーダーが多いせいか、日本の政府や金融庁の動きには非常に敏感で、日本のマイナンバー制度にもいち早く反応しました。
公式ブログではマイナンバー制度に関する情報を積極的に提供し、しばらくすると口座開設時に住所や電話番号と一緒にマイナンバーの入力も求めるようになりました。
しかし、いつの間にかマイナンバーの入力項目は消滅しており、マイナンバーなしでも口座開設・取引・入出金ができるようになっているため、どうやらiFOREX内部でもマイナンバー制度に関する情報が錯綜していた可能性があります。
iFOREXに限らず、日本の金融庁の監督下にない海外FX業者からマイナンバーの提示を求められても提示する必要はありません。今後はどうなるかは分かりませんが、現在のところはそのような業者は詐欺の可能性が考えられます。
また、税金絡みの話で言えば、FXDDを語る偽サイトで「税金を支払わなければ資金は出金できない」という詐欺が発生しました。
海外FX業者に直接税金を支払うようなことは絶対にありませんのでご注意ください。
【まとめ】海外FXはマイナンバー不要だが日本での納税義務はある
国内FX業者や国内金融機関の一部サービスを利用するには、マイナンバー提示は避けられません。
一方、金融庁の監督下にない海外FX業者にはマイナンバーを提示する必要はありません。
しかし、「マイナンバー不要=非課税」ではありませんので、海外FXの利益も確定申告をしてしっかり納める必要があります。
ちなみに、海外FXで確定申告が必要なのは「給料所得あり・海外FXの利益が年間20万円以上の人」または「給料所得なし・海外FXの利益が年間38万円以上の人」です。
上記以外のトレーダーは基本的に確定申告不要ですが、繰越控除や損益通算などのお得な節税制度があるため、年間損益がマイナスの人も早めに確定申告に関する知識を身につけておくことをお勧めします。
海外FXの税金や節税対策についての詳細は、以下の記事をご覧ください。
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