ロシアのメタクオーツ社(MetaQuotes Software Corp.)が開発した、MT4・MT5(MetaTrader4・MetaTrader5)は、世界で最も利用されているチャート兼トレードアプリです。
MT4・MT5はこれまで何となくトレードしているだけだった初心者が、テクニカル分析を駆使して「勝てるトレード」にステップアップしていくための必須ツールと言えるでしょう。
MT4・MT5メリット
- 無料
- チャート・通貨ペア・時間足など画面をカスタマイズし放題
- テクニカル分析に最適!豊富なインジケータ・EAが無制限で使える
- 為替以外に日経225、NYダウ先物、原油、金チャートなども表示できる
- 動作が軽い
- 自動売買ができる!バックテストもできるから安心
- 複数同時起動や複数口座登録もできる
デメリット
- 表示時間が日本時間ではない
- インジケータ・EAは玉石混合
この記事では、パソコンのダウンロード版 MT4・MT5を中心に、何がすごいのか、悪い点はなにか、対応しているFX業者はどこかを解説します。
MT4・MT5とは(メタトレーダー4・5)
チャートとメイン画面
では、実際のMT4とMT5の画面構成を見てみましょう。
いくつかウィンドウがありますが、メインは画面右側のチャートウィンドウ
です。
そのほかは、上部ツールバー
で時間足の変更・描画ツールの選択、左側上部の気配値ウィンドウ
で通貨ペアの選択・注文、左側下部のナビゲータウィンドウ
でインジケータ・EAを選択、下段のターミナルウィンドウ
で取引履歴・口座残高の確認などができます。
外見は、MT4・MT5でほとんど同じに見えますが、MT5では見た目以上に大幅な機能改善がされており、その違いについては、以下の記事で詳しく比較しているので参考にしてみてください。
初心者の人からしてみれば、MT4・MT5は少し「とっつきにくい」というイメージを持つかもしれません。
画面を見てもらうとわかると思いますが、かなり事務的なソフトに見えるからです。
例えば、国内FX業者 GMOクリック証券では、次のようなインターフェースのトレードツールが提供されています。
ただ、国内FX業者が提供しているオリジナルツールの多くは、いわゆる既製品です。
そのため、それぞれ何かしら不満に感じる部分があるのですが、拡張性はありません。
一方、MT4・MT5は、自分でカスタマイズが可能な万能ツールです。
あとから、いくらでも機能を追加することができます。
さまざまな業者で使われることを前提に開発されているので、個性は必要なく汎用性が重視されます。
このあえてシンプルな設計になっていることによって、はじめに「とっつきにくい」という印象を抱いてしまうのかもしれません。
MT4・MT5についてよくある質問(FAQ)
国内FX業者では数社、海外FX業者ではほとんどの業者で採用されています。詳しくは「MT4・MT5が利用できる業者」を見てください。
全く問題ありません。今後、海外FXでトレードしていくなら、むしろ初心者のうちから使い方を覚えてしまったほうが効率的です。MT4・MT5を採用している業者であれば、使い方は全社共通だからです。
プログラミングの知識は一切不要です。無料のインジケータ・EAがたくさん配布されているので、わざわざ自分で作成する必要はありません。
チャートだけ高性能なMT4・MT5を使って、実際のトレードは使い慣れた業者オリジナルツールを使っても問題ありません。むしろ、このような使い方をしている人が大半です。稼いでるトレーダーの多くは、トレードツールとチャートソフトを、しっかり分けて考えています。
ここが凄い!MT4・MT5のメリット
メリット
- 無料
- チャート・通貨ペア・時間足など画面をカスタマイズし放題
- テクニカル分析に最適!豊富なインジケータ・EAが無制限で使える
- 為替以外に日経225、NYダウ先物、原油、金チャートなども表示できる
- 動作が軽い
- 自動売買ができる!バックテストもできるから安心
- 複数同時起動や複数口座登録もできる
国内FX業者のオリジナルツールは、さまざまな工夫がされてだいぶ使いやすくなってきてはいますが、まだまだ完璧ではありません。
足りない機能は、顧客の要望に答え業者がアップデートするまでは利用できませんし、デザインやカスタマイズ性にも制限があります。
また、業者を乗り換えるたびに、新しいツールの使い方を覚える必要があるため面倒です。
MT4・MT5であれば、ほとんどの海外FX業者で採用されているので、使い方は共通です。
自由度が高いのでので、使いやすいようにカスタマイズすることができ、大量に配布されている有料・無料のインジケータ・EAを使えば、いつでもいくらでも機能を追加することが可能です。
MT4・MT5は、拡張性に優れており、スキルアップを邪魔するようなシステム上の制限がほとんどありません。
一つのツールで、裁量取引と自動売買がどちらも可能ですし、動作も軽量です。
チャート・通貨ペア・時間足など画面をカスタマイズし放題
ウィンドウのレイアウト・チャートの配色の変更
画面の各ウィンドウの表示・非表示・レイアウトは自由自在です。
上記画像の例では、9銘柄のチャートだけを並べて表示させていますが、同じ通貨ペアで時間足の異なるチャートを同時に表示させることもできます。
各ウィンドウのレイアウトや、チャートの配色は、自由にカスタマイズすることが可能です。
テクニカル分析に最適!豊富なインジケータ・EAが無制限で使える
最初からテクニカル指標がたくさん入っている
MT4・MT5のナビゲータウィンドウ
には、最初から非常の多くのインジケータがインストールされています。
初心者の人であれば、これだけあれば十分なほどです。
パソコン | スマホ | |||
---|---|---|---|---|
MT4 | MT5 | MT4 | MT5 | |
チャートタイプ | 3種類 | 3種類 | 3種類 | 3種類 |
時間足 | 9種類 | 21種類 | 9種類 | 9種類 |
標準インジケータ | 30種類 | 38種類 | 30種類 | 30種類 |
描画オブジェクト | 31種類 | 44種類 | 24種類 | 24種類 |
※ 2019年2月時点
MT4・MT5が、標準で搭載しているチャートタイプ・時間足・インジケータ・描画オブジェクトの種類は、上記の通りです。
MT5になってさらに充実しました。
具体的にどんなものが利用できるかは、以下のリンクを参照してください。
参考MT4とMT5はどっちがいい?違いを分かりやすく解説:チャート機能を比較
さらに、インジケータは、自分で作成したり、外部からダウンロードできます。
ただし、このカスタムインジケータを追加できるのは、パソコンのダウンロード版 MT4・MT5のみであり、スマホアプリは標準で搭載しているものしか利用できないので注意してください。
インジケーターを自分で作成できる
MT4はMQL4、MT5はMQL5という、C言語ベースの開発言語で作成されています。
この言語とプログラミングの知識さえあれば、自分オリジナルのインジケータ・EAを作成することが可能です。
初心者の人にはちょっと敷居が高いと思いますが、この機能のおかげで世界中のトレーダーが開発した有料・無料のインジケータ・EAを、誰でも簡単に利用することができるようになっているんですね。
ただ、MT4とMT5は開発言語が異なるため、それぞれのインジケータ・EAには互換性がありません。
つまり、MT4のインジケータはMT5では利用できないので注意してください。
インジケーターやEAは有料・無料で入手できる
プログラミングの知識がない人は、他人が作成したインジケータ・EA・スクリプトを、MQLコミュニティサイトからダウンロードして使うことができます。
コードベースのページでは無料ツール、マーケットのページでは有料ツールが配布されています。
非常に多くのツールがあるので、探すのはちょっと大変です。
そのため、基本的に、評価・レビューの高いもの、多くのトレーダーがオススメしているものを利用したほうが良いでしょう。
例えば、相関取引によく利用される比較チャートは、一つのチャート画面に複数の銘柄のチャートを同時表示させる便利な機能ですが、MT4・MT5の場合、初期状態では利用できません。
しかし、これもインジケータをインストールすることで、利用できるようになります。
以下の画像は、OverLay Chart という無料のインジケータを利用して、相関関係が強いとされる、USD/JPYとGBP/JPYを同時に表示させたものです。
GBP/JPY(橙)の動きに合わせて、USD/JPY(緑)も同じような動きをしていることがわかります。
国内FX業者のオリジナルツールでは、この比較チャートが利用できるところとできないところがあります。
為替以外に日経225、NYダウ先物、原油、金チャートなども表示できる
海外FX業者は、通貨以外にもさまざまなCFDを取り扱っており、通貨ペアのチャートと同時に表示することが可能です。
通貨ペア以外は取引しないという人であっても、次のような銘柄は為替に大きな影響を与えるものなので、いつでもチャートが見られるということはとても重要なんです。
- 日経225指数
- NYダウ平均指数
- WTI原油
- 金(XAU/USD)
動作が軽い
これだけ拡張性の高いツールですから、パソコンスペックもそれなりに高性能が求められるのでは?と思うかもしれません。
しかし、動作は非常に軽量です。
これは、実際にMT4をダウンロードして使ってみてください。
MT4よりMT5のほうが、処理速度や表示速度がさらに高速化しています。
国内FX会社の高機能チャートは、スクロール速度や表示速度がとても遅いものが少なからずあるので、ストレスが溜まります。
トレードはスピード感が大切です。
事前のテクニカル分析にも、それほど時間をかけているわけにはいかないので、トレードツールの動作スピードは、損益に直結するものと言っても過言ではないでしょう。
自動売買ができる!バックテストもできるから安心
MT4・MT5は、EA(エキスパートアドバイザー)を使って自動売買が可能です。
さらに、利用するEAは、期間や予算など細かなパラメータが設定可能なストラテジーテスターによってバックテストができます。
事前に、EAの運用成績を評価するのは重要です。
初心者のうちは、お気に入りのEAを探すために、まずはここから始めるのが良いでしょう。
ただし、自動売買ができるのは、パソコンのダウンロード版 MT4・MT5のみです。
スマホアプリでは、裁量取引しかできないので注意してください。
複数同時起動や複数口座登録もできる
複数のMT4・MT5を同時に起動できる
多くの業者でMT4・MT5が採用されているということは、1台のパソコンにいくつも同じMT4・MT5がインストールできて、同時に起動できなくてはいけません。
そのため、上記画像のように他社のMT4・MT5同士を同時に起動させることができるようになっています。。
また、インストール時にフォルダ名を変更すれば、同じ業者のMT4・MT5をいくつもインストール可能です。
つまり、ある業者のある取引口座(アカウント)に、「1台のパソコン上で同時に」「複数のパソコンから同時に」「パソコンとスマホから同時に」ログインすることができるというわけです。
国内FX業者では、1つのアカウントにスマホ側からログインすると、パソコン側がログアウトされてしまうなど、使い方に制約があります。
このように、とても自由度の高い仕様になっているので、マルチモニターを使ったトレードなどもできてしまうんですね。
複数の口座・他社の口座も登録できる
こちらは、先ほどとは逆のパターンです。
1つのMT4・MT5上に、同じ業者の別アカウント、または別の業者のアカウントを複数登録することもできます。
上記画像の例では、XMからダウンロードしたMT4に、XMの複数のアカウントと、AXIORY・TitanFX・Land-FXのアカウントを登録して、一元管理している様子です。
ログインID・パスワードを保存しておけば、各アカウントをダブルクリックするだけで、それぞれを切り替えることができます。
こんな柔軟性の高い使い方もできるのも、MT4・MT5の魅力の一つです。
ここに注意!MT4・MT5のデメリット
デメリット
- 表示時間が日本時間ではない
- インジケータ・EAは玉石混合
MT4・MT5は、基本操作だけなら初心者でもすぐに使いこなすことができるようになります。
しかし、ある程度慣れと経験が必要となる、上記のようなデメリットもあるので注意してください。
表示時間が日本時間ではない
MT4・MT5は、チャートの表示時間が日本時間ではありません。
業者によっても異なりますが、例えばAXIORYはロンドンの標準時間(GMT:グリニッジ標準時)を採用しており、時期によっても計算が変わるので少々面倒です。
- 夏時間( 3月初旬頃~)の場合:表示時間+6時間=日本時間
- 冬時間(11月初旬頃~)の場合:表示時間+7時間=日本時間
ただし、この問題は、カスタムインジケータをインストールすることで解決します。
このように、インジケーターで通常の表示時間の上部に日本時間を表示できます。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
インジケータ・EAは玉石混合
実は、インジケータ・EAは、前述のMQLコミニュティサイト以外にも、個人ブログや個人サイトなどから入手することが可能です。
しかし、どこから入手するにしても、本当に正常に稼働するものなのか?ウィルスが含まれていないか?MT4・MT5の重大なエラーに繋がるものではないか?、は使ってみるまでわかりません。
世界中で開発されたインジケータ・EAは、玉石混合です。
目利きの効くものではないので、第三者のレビューや評価を参考に、本当に信頼できるものかどうかを判断して使ってください。
MT4・MT5が利用できる業者
ここではMT4に対応した業者を一覧でまとめていますが、手っ取り早くランキングでおすすめの業者を知りたい人は「MT4対応の国内・海外おすすめFX業者比較ランキング」をご覧ください。
海外FX業者はほとんどMT4に対応している
業者名 | スプレッド (USD/JPY) |
MT4 | MT5 |
---|---|---|---|
変動 1.5pips |
対応 | 対応 | |
変動 1.2pips |
対応 | 対応 | |
変動 1.3pips |
対応 | 対応 | |
変動 1.2pips |
対応 | 対応 | |
変動 1.8pips |
対応 | 対応 | |
変動 1.7pips |
対応 | 非対応 | |
原則固定 0.8pips |
対応 | 対応 | |
変動 0.9pips |
対応 | 対応 | |
変動 1.1pips |
対応 | 対応 | |
変動 0.3pips |
対応 | 対応 |
当サイトで紹介している海外FX業者を含め、ほとんどの海外FXのトレードツールにはMT4が採用されています。
トレードツールが全て同じということは、業者を乗り換えたとしても、ツールの使い方を一から覚え直す必要がないわけですから、本当に便利です。
※FX業者のみならず、Bybit(バイビット)など一部の仮想通貨業者でもMT4を採用し始めています。
ただし、MT5はまだ一部の業者でしか利用できません。
また、一部の業者はmac専用インストーラを提供していますが、基本的にMT4・MT5はWindows専用ソフトでなのでmacには対応していません。
MT4しか使えない業者、MT4・MT5どちらも使える業者、macに対応していない業者、といった違いがあるので注意してください。
このサイトで紹介している海外FX業者の中では唯一、iFOREXがMT4・MT5を採用していません。
iFOREXトレードツールは、独自の「FXnet View」というブラウザタイプ(スマホアプリあり)のツールだけなので、注意してください。
国内FX業者でトレードに使えるのは一部の業者だけ
業者名 | スプレッド (USD/JPY) |
MT4 | MT5 |
---|---|---|---|
原則固定 0.3pips |
対応 | 非対応 | |
原則固定 0.5pips |
対応 | 非対応 | |
変動 0.4pips |
対応 | 対応 | |
原則固定 0.8pips |
対応 | 対応 | |
変動制 非公開 |
対応 | 非対応 | |
変動制 非公開 |
対応 | 非対応 | |
原則固定 0.3pips |
対応 | 非対応 | |
原則固定 0.3pips |
対応 発注不可 |
非対応 |
現在、国内FX業者でMT4を採用している業者は上記の9社です。
国内でも、MT4が使える業者はだいぶ増えてきましたが、MT5の取り扱いはまだありません。
また、このうち発注機能を備えている業者は、YJFX!とJFXを除く7社のみなので注意してください。
YJFX!とJFXのMT4は、チャート機能限定なので、トレードに使うことはできません。
このように、発注機能を備えていないMT4を扱う業者もあるため、MT4・MT5は「高機能チャートソフト」として紹介されることもあるんですね。
また、YJFX!では、カスタムインジケータ・EAを追加することもできません。
国内FX業者では、使い方にいろいろ制限のあるので注意しましょう。
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